地方鉄道を止めるな!銚子電鉄の映画上映 茨城

「電車を止めるな!」上映会には銚子電鉄の竹本社長も登場(10月31日、龍ケ崎市)

「電車を止めるな!」上映会には銚子電鉄の竹本社長も登場(10月31日、龍ケ崎市)

コロナ禍と人口減に悩む地方鉄道を盛り上げようという機運が茨城で広がってきた。県と鉄道会社4社は千葉県銚子市の銚子電鉄が制作した映画の上映会を始めた。ひたちなか市では「鉄道神社」を創建する構想が動き出した。鉄道会社の努力と官民の支援がかみ合えば、トンネルからの出口も見えてきそうだ。

県境越えて協力

第三セクター鉄道、ひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅(ひたちなか市)に近い倉庫「百華蔵」で7~8日、銚電が制作した映画「電車を止めるな!」の上映会が開かれた。上映後のトークショーには同社と姉妹提携するひたちなか海浜鉄道の吉田千秋社長も参加した。

ひたちなか市での上映会にはひたちなか海浜鉄道の吉田社長が参加(左)(7日)

ひたちなか市での上映会にはひたちなか海浜鉄道の吉田社長が参加(左)(7日)

同作品は廃線寸前の鉄道会社が企画した「心霊列車」で本当に心霊現象が起きる内容。見どころは鉄道存続に情熱を注ぐ主人公らの姿だ。銚電は「超C(チョウシー)級映画」と説明するが、鑑賞した30代会社員は「とても楽しませてもらい、最後は感動して涙が出た」と語った。

銚電の映画制作を知った茨城県交通政策課が県内を運行する4社に働きかけ、県境を越えた共同企画として始めた。10月31日に関東鉄道竜ケ崎線の竜ケ崎駅(龍ケ崎市)で開いた上映会では銚電の竹本勝紀社長が登場し「お隣の茨城から声をかけていただきありがたい」と述べた。13~14日は真岡鉄道の真岡線、23日は鹿島臨海鉄道の大洗鹿島線で上映される。

地方鉄道の状況は厳しい。ひたちなか海浜鉄道は通勤・通学の定期利用客が前年の9割近くに戻ったが、テレワークの拡大などで定期代の支給をやめる大企業もある。イベント中止で観光客らの非定期利用は大幅減が続く。吉田社長は上映会について「茨城の多くの人に観賞してもらい、地域鉄道を利用してもらえれば」と期待する。

神社の

神社の”ご神体”となるディーゼル気動車「キハ222」(9月、茨城県ひたちなか市)=共同

「鉄道神社」を創建

公共の足を支えようと市民団体が中心となって新名所を設ける構想も始動した。鉄道を生かしたまちづくりを進める「三鉄ものがたり実行委員会」は同鉄道湊線の沿線にある阿字ケ浦(ひたちなか市)に鉄道神社を設けようとインターネットで資金募集を始めた。

1970年代から半世紀近く無事故で走ったディーゼル気動車「キハ222」を”ご神体”とする。実行委の佐藤久彰代表は「周辺のほしいも神社と共同イベントを開いたり、鉄道会社と土産品を作ったりして地域を盛り上げたい」と語る。

石田団長ら「りんてつ応援団」はグッズ販売で鹿島臨海鉄道を応援(大洗町)

石田団長ら「りんてつ応援団」はグッズ販売で鹿島臨海鉄道を応援(大洗町)

駅の清掃やグッズ販売を通じて鹿島臨海鉄道を応援する市民団体「りんてつ応援団」は、13年の発足時に十数人だった団員が約90人に増えた。「東日本大震災で乗客が減り、地域鉄道を残さねばと思ったのがきっかけ」と石田久枝団長。行政からの助成金を受けず、手作りのグッズ収入で資金を賄う。町のキャラクター「アライッペ」をあしらったマスクも年内に販売する予定だ。

関鉄の愛好家組織「関鉄レールファンCLUB」は関鉄と共同で、常総線と竜ケ崎線の活性化を担う女性「関鉄レールメイト」を毎年募っている。21日には7期生3人を任命する。駅のギャラリーで来客をもてなすほか各種イベントに参加し、駅と利用者の懸け橋となる。十文字義之会長は「女性の鉄道愛好家も増えるなか、女性に活躍の場を広げたい」と語る。

非定期利用を開拓

支援の輪が広がる地方鉄道だが、生き残りを左右するのは合理化や需要創出の自助努力だ。

「輸送人員は前年比3割ほど少ない。コロナがなくても少子高齢化は進み、需要は元に戻らない」と鹿島臨海鉄道の角田英樹副社長は語る。定員の多い新型車両への更新を続ける一方、定期利用の減少に対応し、定期外利用の拡大を目指す。

同社は乗車記念に記帳する「鉄印帳」を大洗駅で7月に発売し、1回目の100冊がすぐ完売した。鉄印帳に貼る「鉄印」も2種類を販売中。観光客の開拓に向け、自転車を車内に持ち込める「サイクルトレイン」も12月に実施する予定だ。

一定のニーズがあるのが貸し切り列車だ。大洗鹿島線の大洗―鹿島神宮駅は往復2時間超で12万円。コロナ禍で企業による懇親会などの利用が減る一方、鉄道ファンには根強い人気がある。

ひたちなか海浜鉄道も勝田―阿字ケ浦駅を往復10万円で提案したところ「2人でも借りたいとの声があった」(吉田千秋社長)。ロケ撮影地としてのPRも進める。「地域の人に喜んでもらえる魅力をアピールしたい」と吉田社長は語る。

(水戸支局長 竹蓋幸広)

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