息をのむほど美しい 日本の絶景収めた写真集10選

1位 いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日

1位 いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日

大自然や農山村の四季折々の風景など、日本各地には息をのむほどほど美しい景色がある。一度見たら忘れられない、全国の絶景を収めた写真集を書店員が選んだ。■1位 いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日 570ポイント
暦に合わせて1日1枚

1位に選ばれたのは47都道府県の絶景を暦に合わせて、1日1枚ずつ紹介する写真集。旅情報などを発信するウェブメディア「TABIZINE(タビジン)」が全国の色鮮やかな写真を集めた。あわせて読みたいライブカメラで楽しむ自然公園絶景羊蹄山・大山… 郷土の「富士」10選

紅葉が色づいた11月の石鎚山(愛媛県)など、各スポットが最も写真に映える季節の1枚を選んだのが特徴で「四季のある日本に生まれてよかったと実感する」(番場文章さん)。

遠藤貴弘さんは「365日で最も美しい光景を巡りながら、列島の躍動を感じる事のできる1冊」と評価する。写真の枚数が非常に多いため、誰もが好みの場所を見つけられそう。眺めているだけで旅をした気分になれる。「解説は最小限なので写真に没頭できる」(瀬之口和樹さん)のもいい。

(1)TABIZINE(2)パイ インターナショナル(3)2020年2月(4)1900円+税■2位 日本の美しい幻想風景 440ポイント
絵画の中 旅する気分

日本風景写真家協会に所属する全国のプロ写真家15人の合作。「海外でみるような幻想的な風景写真を日本でも集めたいという思いで企画した」(出版元のパイ インターナショナル)。「様々な写真家によって撮られた神秘的な光景は心を打つ」(芝健太郎さん)

光の差し込み方の違いにより青やピンクに輝く山、霧の立ちこめる湿原など、限られたシャッターチャンスをものにした写真が印象的だ。「ここは本当に日本なのだろうかと思わせる、知られざる絶景が掲載されており、夢の世界や絵画の中を旅するような気分になる」(大友渓さん)。見慣れた日本の景色も表現の仕方で大きく印象が変わることに気づかされる。「文句なしにおすすめでプレゼントにも最適」(神谷康江さん)。

(1)日本風景写真家協会(2)パイ インターナショナル(3)2019年10月(4)2400円+税

■3位 いまいちばん美しい 日本の絶景 390ポイント
田舎も都会も 知られざる風景

全国の30人以上のカメラマンの作品を集めた写真集。現地に暮らしているからこそ撮れた奇跡的な瞬間や、一般的にはほとんど知られていない場所で撮られた風景を楽しめる。

「空の色や質感を生かした幻想的な写真も多く、思わずページをめくる手を止めてしまうほどの雄大さを感じる」(伊藤貴光さん)。田園風景から都会の夜景まで幅広い被写体を取り上げているのも面白い。

SNS(交流サイト)や写真展などで人気を集めそうな、色鮮やかで目を引く写真を数多く収めているのも特徴で「明度が高めの写真で、ファンタジックな印象を受ける」(鈴木統太郎さん)。写真が趣味の人は撮り方の参考にしたり、撮影の候補地選びに使ったりしても楽しめそうだ。

(1)MdN編集部(2)エムディエヌコーポレーション(3)2018年9月(4)1900円+税

■4位 京 古都の情景 320ポイント
四季の移ろい 鮮やかに

高台から見下ろした市街地、伝統的な神社仏閣、祭りなど様々な京都の風景を楽しめる。「京都旅行気分を堪能できる1冊で、特に貴船神社の雪灯籠の写真には目を奪われた」(山口優太さん)。

作者は1969年から京都の風景や庭園、建築などの撮影を続けてきた。京都写真の先駆けとも言える存在だ。「四季の移ろう花や緑の色は鮮やかで見事。京都を知り尽くした水野先生だからこそ、数々の神社仏閣を1冊にまとめ上げるという企画が実現できたのではないか」(番場さん)

英語の対訳も付いており、海外の人が日本文化に興味を持つきっかけにもなりそう。蔦屋書店では大型本も限定販売している。

(1)水野克比古(2)光村推古書院(3)2018年4月(4)3200円+税■5位 富士山 310ポイント
親子3代 様々な顔写す

初夏の茶畑のかなたに望む富士、南アルプスの北岳から見える雲海の上に顔を出す富士……。日本人の原風景の一つである富士山の四季折々の姿を、各地からとらえた。「周囲の景色も含め、富士山に様々な顔があることを表現したかった」(出版元の光村推古書院)という。

著者の1人の森田敏隆氏は山麓の山梨県鳴沢村に撮影拠点を設け、30年近く撮影を続けてきた。今回の作品集では森田氏が息子と2人の孫と共に、親子3代で撮影した写真を厳選した。「世代を超えた富士山への憧憬が伝わってくる」(遠藤さん)、「それぞれの感性や好みの違いがうまく1冊の写真集となっている」(大友さん)といった声も。

(1)森田敏隆、森田将裕、森田裕貴、森田椋也(2)光村推古書院(3)2019年12月(4)2400円+税

■6位 秘色 240ポイント
心に深く響く色彩

自然風景を撮影し続けてきた作者は日本の美しい四季の情景の中に、日本人が古くから表現してきた「伝統色」が多く隠れていることに気づく。色ごとに日本各地の風景を切り取った作品集は「鮮やか過ぎず、心に深く響いてくる色彩が詰まっている」(山口さん)

「彩度と明暗のコントラストが強く効いた力強い画面作りが魅力。特におすすめなのは見たことのないほどまぶしく鮮やかな赤と黄色」(伊藤さん)と、色を際立たせる写真家の技量も評価された。写真集を眺めていれば、普段カメラを手にしない人でも自然風景の中に様々な色を見つける楽しさが分かる。

(1)金子美智子(2)日本写真企画(3)2020年7月(4)2500円+税

■7位 365日 北海道 絶景の旅 200ポイント
地元ならではの視点で

北海道在住のカメラマンが撮った道内各地の自然や街を、1月1日から順番に楽しめる写真集。女満別空港に着陸する飛行機とひまわり畑を一緒に収めた一枚をはじめ、地元民ならではの視点が生きた被写体が満載。自然豊かな北海道の一年間の風景を通して、四季の素晴らしさが伝わってくる。「絶景を観賞するというだけではなく、開く度に訪れてみたくなる一冊」(青柳将人さん)

「横長ハードカバーで、この手の写真集としては珍しい判型だが、写真が明るく色鮮やかで、プレゼントとしても人気がある」(鈴木さん)。同じシリーズで世界各地やハワイをテーマにした写真集もある。

(1)みんなのことば舎(2)いろは出版(3)2020年9月(4)3400円+税

■8位 明日、どこ行こう 撮り旅 190ポイント
一緒に旅をした気分に

海外で放浪生活を始めたことを機に旅の景色を写真に残す「撮り旅」を始めた作者が、雑誌「風景写真」に連載するフォトエッセーをまとめた一冊。気象データなどを調べ、各地の撮影に適した時期や時間帯を選んで撮影する緻密さが評価された。「風景だけではなく、光の映り込みや陰影のバランス等、一枚一枚が全て計算して作り込まれているのが伝わってくる」(青柳さん)。神谷さんは「夢の中にいるような幻想的な風景が満載」と評価する。

作者が五感を研ぎ澄ませて観察した自然や、現地の人とのほっこりする交流については、写真にまつわるエピソードとして記されている。一緒に旅をした気分になれる。

(1)星野佑佳(2)風景写真出版(3)2018年1月(4)2000円+税

■8位 日本の美しい里の絶景 190ポイント
郷愁誘う里山 心安らぐ

30年以上にわたり里山・里海の撮影をしている作者は、現地で車中泊をしながら貪欲にシャッターチャンスを狙ってきた。稲をくいがけにして天日干しした田麦野棚田(山形県天童市)、阿蘇の外輪山を遠景に鮮やかな夕日のオレンジに染まる熊本県阿蘇市の田畑など、今も残る農山村の景色を切り取る。ところどころに農作業をする人も写っており「朝の光が里山にうつる風景はまさに郷愁を誘う」(芝さん)。

「あくせくして心に余裕がなくなっているときにおすすめ」(瀬之口さん)。写真集は横長の装丁にし、里山の景色を広く見せられるようにした。

(1)富田文雄(2)パイ インターナショナル(3)2019年1月(4)2400円+税

■10位 永平寺の四季 新版 160ポイント
凛(りん)とした空気に触れる

曹洞宗の大本山で多くの修行僧が門をたたく福井県の永平寺。日本風景写真協会の会長を務める写真家が2年以上にわたり、寺の四季を写真に収めた。「めくるたびに凛とした空気を感じて、深く息を吸い込みたくなる」(瀬之口さん)一冊で、境内にいる気分を味わえる。

出版元の東方出版によると「永平寺の中の景色を見せたいと思い始まった企画」といい、本の中では法堂や経蔵などの建物、イチリンソウやコケなどの植物を一つずつ丁寧に写し出した。「一枚一枚にわかりやすいタイトルがついているのも没入感を高めてくれる」(伊藤さん)と、構成を評価する声もあった。

(1)落井俊一(2)東方出版(3)2020年8月(4)1800円+税

物語仕立て 読む楽しみも

今回のランキングでは北海道から沖縄まで幅広い地域の絶景を凝縮した写真集が主に選ばれた。上位に入った写真集のページをめくると色鮮やかな写真が目立ち、改めて日本列島の四季の豊かさや景色の多様性に目を奪われた。オンライン書店のhontoの担当者によると「緊急事態宣言明けの6~9月は、日本の風景写真集を中心に人気が集まっている」といい、ステイホームの影響で、身近で美しい場所を見直す人が増えているのかもしれない。

スマートフォンの性能向上で誰もが気軽に美しい写真を撮れるようになったことは、写真集の作り方にも影響を与えているようだ。例えば3位に選ばれた「いまいちばん美しい日本の絶景」にはツイッターやインスタグラム等のSNS(交流サイト)に写真を投稿しているカメラマンも名を連ねている。

風景写真の裾野が広がったことで、自然風景や建築などを撮る写真家の中にはストーリー仕立ての写真集を出すなど、工夫を凝らす動きも広がる。今年出版された写真家・山崎エリナさんの「トンネル誕生」は、一本のトンネルが完成するまでの過程を追った作品。一般人が立ち入ることができない工事現場の幻想的な風景、エネルギッシュに働く作業員の姿を情感たっぷりに写し出す。風景写真の進化に今後も注目したい。

■ランキングの見方 数字は専門家の評価を点数にした。(1)主な著者・制作者(2)出版社(3)初版の発行年月(4)価格(本体+税)。写真は本の外装が三浦秀行撮影、それ以外は出版社提供。

■調査の方法 風景写真の専門家の推薦を基に、編集部で2018年以降に出版され国内の絶景・原風景をテーマにした写真集27作品を選定。書店員10人に(1)構図など写真の美しさ(2)旅の気分を味わえるか(3)本の構成の面白さなどの視点で評価してもらい、点数を編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽青柳将人(文教堂商品本部)▽伊藤貴光(八重洲ブックセンター本店美術書担当)▽遠藤貴弘(紀伊国屋書店新宿本店課長)▽大友渓(楽天ブックス書籍グループ)▽神谷康江(有隣堂商品戦略部書籍課長)▽芝健太郎(フタバ図書商品部書店バイヤー)▽鈴木統太郎(ジュンク堂書店池袋本店)▽瀬之口和樹(リブロ南町田グランベリーパーク店店長)▽番場文章(銀座蔦屋書店写真コンシェルジュ)▽山口優太(くまざわ書店ペリエ千葉本店店長)=敬称略、五十音順

(生活情報部 荒牧寛人)

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