豊かな朝食で宿泊客呼び込み   長崎、観光業者が連携

長崎市の観光事業者が連携し、宿泊客の誘客を強化する。長崎国際観光コンベンション協会(長崎CV協会、長崎市)が10月から、宿泊施設や飲食事業者と海辺で朝食を提供。コロナ禍を機に近場で宿泊する「マイクロツーリズム」客を取り込む。同市は宿泊客の比率が4割弱と九州7県の平均(7割強)より低い。地元の食材を強調した魅力的な朝食をてこに観光客の滞在時間を延ばす。

朝食会場の出島ワーフ。海との距離が近く対岸の風景も楽しめる(長崎市)

朝食会場の出島ワーフ。海との距離が近く対岸の風景も楽しめる(長崎市)

長崎市や観光関連会社などでつくる長崎CV協会が手がけるのは「出島ワーフde朝活」プロジェクト。海辺にある飲食施設「長崎出島ワーフ」を会場とし、2000~3000円相当の朝食を味わえるようにする。

出島ワーフからは対岸の町の風景、フェリーや高速船などが行き交う姿を楽しめ、近隣には著名建築家の隈研吾氏が設計した美術館もある。協会の宝珠真一・DMO企画戦略部長は「何より、朝食会場と海までの距離は10メートル以下。観光客からは『横浜や神戸などよりも、海が身近に感じられる』といわれる」と魅力を話す。

対岸には、美しい夜景を観賞できる稲佐山や、世界文化遺産の一部で、1900年代初期に導入された三菱重工業の巨大電動クレーン「ジャイアント・カンチレバークレーン」もある。

宿泊施設には「ホテルベルビュー長崎出島」や「ビジネスホテルニューポート」など3つのビジネスホテルが参加。朝食は居酒屋経営のFデザインNAGASAKI(長崎市)と飲食店経営のAttic coffee and dining(アティック、同)の2社が提供する。

朝食会場の室内はモダンで落ち着いた雰囲気(長崎市)

朝食会場の室内はモダンで落ち着いた雰囲気(長崎市)

Fデザインが地元産の旬の魚や特産の五島うどんを使った和食を担当し、アティックが島原半島産の豚肉を使ったハムやトマトやレタスを盛り込んだサンドイッチなど、洋食メニューと自社で焙煎(ばいせん)した豆を使ったコーヒーを出す。

宿泊客は、ホテルから徒歩3~10分の出島ワーフに出向いてもらうことになるが、テラス席を用意してあるため「3密」を回避できる可能性が高いという。3ホテルが企画する朝食付き宿泊プランの平均価格は7500円を想定している。

9月にモニターツアーを実施し、正式には10月から始める。当初は土日祝日限定とする。初年度は900人の集客と700万円の売上高を計画。2023年度には参加する飲食店や宿泊施設も増やし、利用者6万人、売上高を6億円に拡大したい考えだ。

長崎市によると、同市を訪れた観光客は18年に706万人に上る一方で、宿泊者の比率は4割以下にとどまる。観光庁調べで7割を超える九州7県の平均を大きく下回る。単純比較はできないが、長崎CV協会は「コンテンツを整備すれば、拡大の余地はある」と見ている。

一方、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、地域の観光業は厳しい。1~3月の県内の主要宿泊施設の客室稼働率は49%と前年同期比を15.3ポイント下回った。

さらに22年度には九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)暫定開業で、長崎―福岡間の交通利便性が高まる。観光客や労働者が競争力のある地域に吸い寄せられる「ストロー効果」で宿泊客が奪われる懸念もある。宝珠氏は「長崎市の宿泊施設で地場の食材を中心にした朝食が少ないとの指摘は、県内外の観光客らから出ていた。市内の新たな魅力を育て、宿泊客増につなげたい」と話す。

(古宇田光敏氏)

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