コロナの夏 冷える地方(3) 観光、地元頼みに

東京スカイツリーは都民の入場料を半額として需要を創出した

東京スカイツリーは都民の入場料を半額として需要を創出した

8月上旬、長らく閑古鳥が鳴いていた東京スカイツリー(東京・墨田)のチケット売り場に「購入の整理券はこちらです」と、来場者へ繰り返し呼びかけるスタッフの活気ある声が響いた。盛況を取り戻したきっかけは、都民の入場料を半額にするキャンペーンだ。

3カ月の営業休止を経て6月1日に再開したものの、来場者は前年の1割程度。起死回生の転機と見込んだ政府の需要喚起策「Go To トラベル」事業も、実施直前になって都内全域が対象から除外された。

「こうなったら都民だけで需要を盛り上げるしかない」。東武タワースカイツリー取締役の新家章男は2012年の開業後初めて大々的な値下げで集客することを決断、7月末「いつでも行けると思って昇ったことがない皆さん。今こそ自身が住む東京の大パノラマを体験ください」と呼びかけた。狙いは当たり最繁忙期のお盆、来場者の8割が都民で埋め尽くされた。

「域内」に目を向けざるを得なくなったのは、都外の観光地も同じ。訪日外国人旅行者(インバウンド)が消失した上、国内人口の1割強を占める東京都民の誘客も効果が乏しくなったことを受け、各地は「埋もれた需要」の再発掘に力を注ぐ。

北海道占冠村の「星野リゾート トマム」は7月上旬、道内在住者に向けて室料を6割前後抑えた独自プランを1万人分設定した。販売ペースは総支配人の渡辺巌が「驚いた」と舌を巻くほど。1カ月弱で完売し、稼働率回復につなげた。札幌市の温泉街、定山渓温泉も利用回復を狙い1人2千円の市民限定クーポンを各施設で配布した。「敷島定山渓別邸」の支配人、千葉希芳は「街にかなり客が戻ってきた」と自信を示す。

限られた観光客を巡る「囲い込み」も熱を帯び始めている。香川県知事の浜田恵造は7月20日、新型コロナウイルスの感染状況を理由に8月から全国への拡大を目指していた独自宿泊助成(1人1泊7千円上限)の対象者を四国4県在住者に絞ると表明した。一方、隣接の愛媛県(同5千円)は同月、新たに中国地方全域のほか宮崎県も対象に加えることを決定。より広域からの集客に乗り出した。

「他県に見劣りしたら客は流れる。インパクトがなければ負け」。香川県観光振興課課長の西尾徹が力を込める。「いつまでも対象を四国にとどめてはいられない。時期をみて必ず拡大する」

(敬称略)

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