「城泊」1泊100万円 愛媛・大洲、23日開業

古民家ホテルなど城下町を体験

歴史的な町並みが残る愛媛県大洲市で、旧城下町全体を観光施設と捉えた分散型ホテルが23日開業する。大洲城の木造復元天守に泊まり城主体験ができる「キャッスルステイ」や、古民家への宿泊などを用意し、これまで見学が中心だった市内観光を体験型にシフトする。歴史的資源の一歩踏み込んだ活用により、地域活性化を目指す。

大洲城の木造復元天守に宿泊できる(18日、愛媛県大洲市)

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大洲城の木造復元天守に宿泊できる(18日、愛媛県大洲市)

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蔵を活用した古民家ホテルの客室(18日、大洲市)

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蔵を活用した古民家ホテルの客室(18日、大洲市)

古民家ホテルでは庭園を眺められる客室もある(18日、愛媛県大洲市)

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古民家ホテルでは庭園を眺められる客室もある(18日、愛媛県大洲市)

「観光づくりは地域の未来づくりだ。旅の目的となるホテルを目指したい」。大洲市長ら関係者が集まった18日の記念式典で、分散型ホテルを運営するバリューマネジメント(大阪市)の他力野淳社長は力を込めた。新型コロナウイルスの影響で海外富裕層の集客は見込めないが、他力野社長は「国内客が海外旅行できないことのメリットが大きい」と指摘する。

大洲城は築城の名手、藤堂高虎らが整備し、国の重要文化財にやぐら4棟が指定されている。天守は明治期に取り壊されたが、写真や模型などの史料を基に2004年復元。旧城下町には豪商の邸宅など歴史的建造物が約100軒残る。県内では「伊予の小京都」とも呼ばれる魅力的な資源を持つ一方で、松山空港から車で約1時間かかるアクセスの悪さもあり、全国的な知名度は低い。

こうした状況を打破しようと、大洲市や伊予銀行などが連携。18年に地域DMO(観光地経営組織)候補「一般社団法人キタ・マネジメント」を立ち上げ、プロジェクトを進めてきた。当初は今春の開業予定だったが、新型コロナウイルスの影響で7月に延期した。

城泊は一般の見学時間外の夜間などを利用し、天守に寝具などをしつらえて宿泊するプランだ。客は「城主」としてもてなされ、入城時には鉄砲隊が祝砲で迎える。食事は大洲の野菜など地元産にこだわり、フランス料理の要素を取り入れた和食を提供。朝食は特別に庭園で有名な「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」で食べることができる。城の敷地内に新設した専用浴室では天守を眺めながら入浴できるなど、送迎を含め、ぜいたくなプランにしている。

1日1組限定(最大6人)で料金は100万円から。利用は年間30組程度まで。すでに23日には予約がある。

このほか、古民家ホテルは3カ所11室を活用した。「村上邸」は製蝋(ろう)業で成功した豪商、村上長次郎が江戸後期に建てたとされる。庭園付き客室や、蔵を改装した客室を用意。古い柱や壁などを残しつつ、空調や水回りは快適に使えるよう改装した。宿泊料金は1人1泊2食付きで3万円前後とする。

バリューマネジメントは千葉・佐原など国内約20カ所で歴史的建造物を活用したホテルを展開。他力野社長によると、歴史文化を体験できる施設への国内アッパーミドル層の需要は旺盛だ。同社の客室単価は6万5000円程度と高く、黒字化が見込める稼働率50%を当面の目標とする。

仮想現実(VR)技術を活用し、大洲城や臥龍山荘など、地域の観光スポットを遠隔体験できるサービスも計画する。旅行会社などにPRし、誘客につなげる狙いだ。

宿泊客が増えれば一時的な人の流れにとどまらず、仕事に就く若者の移住にもつながる。にぎわい創出による消費は市にも還元され、文化財の保存活動に役立てられる。すでに古民家ホテルの増床も予定。体験型観光を軸とした好循環を呼び込めるかは、魅力的なコンテンツを打ち出せるかがカギを握りそうだ。

(棗田将吾氏)

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