東北首長「Go To」東京除外に理解 域内振興に軸足

政府が国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」事業の対象から東京発着の旅行を除外すると決めたことを受け、東北6県の首長から「新型コロナウイルスの感染拡大に一定の抑止力はある」などと理解を示す声が相次いだ。まずは県内や東北域内の観光促進に力を入れる。一方、東京除外で自粛機運がさらに高まり、様々な分野で需要減退につながることへの懸念も出ている。

感染者ゼロが続く岩手県の達増拓也知事は17日の定例会見で「東京は過去最高の感染者数に達している。対象にしないのは当然だと思う」と述べ、理解を示した。

宮城県の村井嘉浩知事も「(東京発着除外は)やむを得ない。一定の抑止力はあると思う」と話した。青森県の三村申吾知事は「感染症の動向を見極めながら地域の実情を踏まえ適切に実施してほしい」とコメントを出した。

観光事業者の中には東京だけを除外したことを評価する声もある。蔵王国際ホテルなどを経営する蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門会長は「東京だけを対象にしたのはいい落としどころ」と話す。東北観光推進機構の紺野純一専務理事は「東京だけでよかった。政府はギリギリの選択をしてくれた」として、今後も新型コロナの感染状況に応じた判断を期待した。

東京の除外を受けて、まずは県内や隣県からの誘客を強化する動きも見られる。飯坂、土湯、高湯の温泉地がある福島市ではキャンペーンに合わせたPR施策を準備していた。同市の木幡浩市長は「近隣県や感染の少ない地域をターゲットにして、段階的に誘客を広げていければ」と話す。

キャンペーンは東京を除いての開始となるものの、首長の中には、全国的な感染拡大が広がる中で、なお実施を不安視する見方もある。

秋田県の佐竹敬久知事は「22日からのスタートは早いと思う。東京のみならず首都圏、大阪など感染拡大している地域への旅行は極力避けていただきたい」と県民に協力を呼びかける考えを改めて示した。

銀山温泉のある山形県尾花沢市の菅根光雄市長は「東京だけでなく、千葉や神奈川なども対象にすべきだ。お盆の帰省についても控えるよう呼びかけが必要かと考えている」と話す。

東北最大の観光資源のひとつである夏祭りの中止が各地で相次ぎ、政府のキャンペーンによる経済効果への期待は大きかった。七十七銀行系のシンクタンク、七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストは、夏祭りの中止や規模縮小などに伴う経済損失を2634億円と試算する。

田口首席エコノミストは「東北にとって観光業は域外需要を取り込み『外貨』を稼ぐ数少ない産業だ」とした上で「(東京の除外で)自粛機運が高まり、他の需要までもが縮減することが懸念材料だ」と指摘する。

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