四国、地域課題解く先進地へ 産業育成やSDGs

四国経済の今

■「盆栽の女王」や冷酒、欧米へ 人口減で輸出に活路

四国には個性的な企業がそろい、地域課題の解決で人工知能(AI)などの最新技術の取り込みも盛んだ。

四国の基幹産業や特産品で輸出を目指す動きが目立ってきた。人口減などで国内市場は成長が見込みにくく、四国で磨いた個性を武器に海外に活路を見いだす。地元の強みを生かした産業育成も盛んだ。

愛媛県では「盆栽の女王」を欧州連合EU)に送り出す取り組みが本格化する。四国中央市などの生産者らは特産の盆栽「赤石五葉松」の輸出振興組合を結成。ドイツを足場に同国やフランスの富裕層に売り込む。

赤石五葉松は1つの房に葉が5本あり、柔らかな枝ぶりが特徴だ。国内で盆栽熱が高まった1960~70年代には盛んに取引された。しかし近年は生活スタイルの変化もあり市場は縮小する。

一方、海外では日本庭園の評価が高まり、樹齢を重ねた50~100センチメートル程度の大ぶりな盆栽に人気が集まる。赤石五葉松輸出振興組合の森高準一会長は「時間をかけて育てた盆栽を適正に評価してくれる愛好家に販売したい」と意気込む。

清酒国内需要の低迷を受け、2015年から輸出に乗り出した土佐酒造(高知県土佐町)は冷酒3品を軸に北米市場の開拓に動く。英国に続きカナダのバンクーバーに営業部隊を常駐させた。輸出強化に向けて、本社敷地内にも新設備を整備。日本酒を冷蔵保存するタンクを増やし増産に対応する。「冷酒をワイングラスで楽しんでもらう飲み方を提案する」と松本宗己社長は話す。

四国経済の土台、製造業でもグローバルな飛躍を目指す企業が目立つ。

建設用クレーン大手のタダノは、海外売上高比率を現在の5割から8割に高める長期目標を掲げる。年間500~600台のクレーンを製造する新工場、香西工場(高松市)を8月に本格稼働させた。約215億円を投じ、部品の無人搬送車など省力化に向けた設備を導入し生産性を向上させる。海上に位置するメリットを生かし、神戸や横浜に輸送した後に海外へと輸出する。

地元の強みを生かした産業の拠点作りも進む。四国電力グループのSTNet(高松市)は自然災害が少ない香川県の地の利を生かしデータセンターを増設する。

SDGs、行政に頼らず 徳島流で民間の力結集

 「とくしまSDGs未来会議」は行政に頼らないことを旗印に発足した。

国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」について考え、行動に移す取り組みが四国でも活発になっている。住民自らが食品ロス、ゴミ、フェアトレード、エネルギーといった問題の解決策を探り、消費者の輪を広げていくことで、地域の魅力向上を目指す。

徳島では県内の企業経営者、大学教授ら16人が発起人となり、6月に「とくしまSDGs未来会議」が発足した。活動は「行政に頼らない」ことを旗印に掲げたのが特徴。エシカル(倫理的)消費の啓発などで活動する四国大短期大学部の加渡いづみ教授が会長に就任し、「徳島から未来を創る力を発信する」との趣意書を承認した。

未来会議は行政からの補助金などに頼らず、個人や法人などの会員を集め会費で運営し、「民間の力で問題解決につながるアイデアを出す」ことを活動の中心に据えている。SDGsに掲げられた17の目標を、発起人それぞれが担当を決めて啓発活動を推進する。

徳島には2020年度に、消費者行動のモニター調査や消費者被害の要因分析の実証をする役割を持つ拠点として、消費者庁の「新未来創造戦略本部」が新設されることが決まった。四国大学の松重和美学長は「世界に向けて徳島流のSDGsを発信したい」と語っており、SDGs先進地域として活動の盛り上がりに期待が集まっている。

■香川・三豊市でAI研究 地方創生、発信狙う

課題先進地の四国で、最先端の研究が進んでいる。人工知能(AI)分野のうち、ディープラーニング(深層学習)研究の第一人者である東京大学、松尾豊教授のサテライト研究室が香川県三豊市に開設、愛媛大学はAIを活用した入院患者の事故予測システム構築をめざす。製造業が集積し人手不足が深刻な地方だからこそ、新たな技術が生まれる可能性がある。

香川県三豊市と松尾研究室、香川高等専門学校三豊市)が連携し、参画する企業が抱える課題にAIで解決策を提案していく。AIの技術を自動運転などの機械に落とし込む必要があるため、松尾教授は機械の組み立てに習熟した高専生がAI時代の担い手になると考えている。

人手不足が深刻化するなか、生産性の向上は企業の喫緊の課題だ。建設や農業、食品加工など労働集約型産業の課題を吸い上げ、深層学習を活用した画像認識技術を使って作業の自動化を促す。製造業、AI、高専生を融合した地方創生を「三豊モデル」として全国に発信していく。

AIの活用は医療分野でも進む。愛媛大は医療システム開発ファインデックスと共同で、入院患者の転倒事故などを予測するシステム構築に着手した。

患者の心拍数や体温、身体動作などのデータを収集してAIで分析、転倒や転落の予兆となる変化を探し出す。患者の見守りや身体装着型のロボット開発にもつなげ、医療現場の人手不足に対応していく。

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